天邪鬼の目

ラノベ、アニメ、美少女ゲームの感想、または備忘録的な雑文を記す場所

『冴えない彼女の育て方8』の感想

 

6月20日、待望の冴えない彼女の育てかた8』を購入し、翌日のお昼頃に読み終わったので、早速感想を書こうと思います。

その前に、初めてのblogでの感想記事、ということでもあるので、『冴えない彼女の育て方』略して冴えカノ全体の、ざっくりとした紹介と感想を。

 

内容紹介

これは俺、安芸倫也が、ひとりの目立たない少女をヒロインにふさわしいキャラとしてプロデュースしつつ、彼女をモデルにしたギャルゲームを製作するまでを描く感動の物がた…「は?なんの取り柄もないくせにいきなりゲーム作ろうとか世間なめてんの?」「俺にはこのたぎる情熱がある!…あ、握り潰すな!せっかく一晩かけて書き上げた企画書なのに」「表紙しかない企画書書くのにどうして一晩かかるのよ」「11時間寝れば必然的に残った時間はわずかに決まってんだろ」「もうどこから突っ込めばいいのよ…このっ、このぉっ!」…ってことで、メインヒロイン育成コメディはじまります。

 

1巻背表紙での紹介文なのですが、正直何を伝えたいのかよくわからないというのが本音でした、3年ほど前に、友人からの紹介で出会った作品なのですが、彼の口からも褒めるような発言はなかったと記憶しています。(そもそもその友人はどの作品に対しても安易な賞賛や酷評はしない)

ですが、ラノベだけでなく、文学作品全般に対して広いレーダーとそれに相応する見地を有している友人の紹介であることと、その美麗(ココ超超重要!)なイラストに後押しされたので、紹介文のことはいったん忘れて、2巻まで借りて読むことにしました。(当時、雑魚な僕は丸戸史明先生というエロゲ界の重鎮のことを存じていませんでした)

 

正直なところ、1巻を読み終えた段階では「微妙……」でした。

 

背表紙の紹介文だけでは具体的な内容の容量を得ないので、大雑把ではありますが、独自に内容をまとめようと思います。

 

創作はしない消費型オタクであった主人公の安芸倫也は、朝の新聞配達の途中、地味で存在感の薄い少女、加藤恵と出会う。坂道で、風に吹かれ恵の帽子を拾ってあげるという、ギャルゲにおいてはベタで、けれども実際に起こることは稀で……。多くの男子が憧れるようなシチュエーションに遭遇した倫也は、その『出逢い』に感化され、ギャルゲ制作に取り組み始める。倫也の幼馴染で大人気同人イラストレーター澤村・スペンサー・英梨々と現役ラノベ作家のクールな先輩、霞ヶ丘詩羽。そしてメインヒロインのモデルである恵を引き込み、同人ゲームサークルを結成に創作活動にいそしんでいく。

 

金髪ツインテールの小柄な(貧相をも言う)ツンデレ、英梨々と黒髪ロングでスタイルが抜群のクールな先輩、詩羽。

その間に挟まれるオタク向けコンテンツのメインキャラとしては特徴がほとんどない"普通"の美少女(それが魅力的)である恵。

個性豊かな美少女たちと、コミケなどの同人界隈に興味を持っている、あるいはその渦中にいる人にとってはクスりとクるであろう、その設定や世界観とメタ描写が小気味良いです。

しかし、明らかにわかる言葉足らずが原因で、ブツリブツリと途切れてしまう話の流れ。これが豊富なキャラクターの魅力や物語の設定を覆い隠してしまう大きな要因になったと思います。

クラスの皆はいつの間にかやたら盛り上がっていて、自分はそのノリについていけずそれに疎外感を感じる。そんな気持ちを呼び起こされました。

 

ですが、2巻を手に取ると、不思議と1巻の疎外感が嘘のように氷解し、同族嫌悪の対象であった倫也に対して親近感にも似た感情を抱くようになり、ヒロインたちに対しても素直に萌えられるようになりました。

それからは、ジェットコースターに乗っているかのように、完全にベルトを席に固定されてしまい、息吐く暇もないほど感情を揺さぶられ「ああ、自分もこんな青春を送ってみたかったッ……」といつの間にか心の中で涙を流すほどのファンになっていました。

 

そんな思いを抱いているという前提で、今回の本題である『冴えない彼女の育て方8』の感想に移ります。

結構突っ込んだ部分まで触れますが、なるべくネタバレにはならないよう、気を付けていきます。

まず今回は、新章突入ということで、進級、進学したキャラクターたちが、新たな創作に向けて本格的な活動を始めてゆくというところから物語が始まります。

本シリーズの、メインヒロインよりも強烈な個性と存在感を放つ二大サブキャラクターであった絵梨々と詩羽は、諸事情により、サークルを離れました。けれども、出番がなくなるということではなく、割とガッツリと物語の中核メンバーとして活躍しています。

これまで、英梨々と詩羽に比べて地味な役回りを果たしていた氷堂美智留と波島出海(どちらの一回しか拍表紙を飾っていない)の出番が増えていきます。個人的に、新たにサークルの原画担当として加入した、出海の出番が増えてくれることはとてもうれしかったです。

 

今回、物語を特に盛り上げていた要素は、波島伊織の存在でした。

"消費豚"から"生産者"の側へと回って1年が経ち、倫也は心身共に成長を果たし、新たな段階へとステップアップしました。その最初の壁が、自分よりクリエイターとして一歩も二歩もを行くライバル、波島伊織です。倫也は自分たちの新作予定のプロットを伊織に披露することで、現在フリーである伊織をスカウトしました。

 

 

「にしてもこれ、イラストレーターへの負担が凄いな……本当にこれを倫也君が一人で書くつもりなのかい? 霞詩子もいないのに?」(百三ページ)

「あと、キャラクターは前作のメインヒロインを踏襲するとあるけど、柏木エリがいないのに同じキャラを出したら、公認の原画かにプレッシャーがかからないかな?」(百四ページ)

「『これじゃ売れない』って言ったよ……それだけじゃ理由にならないかな?」(百五十ページ)

 

 

伊織は歯に衣着せぬ物言いで、倫也に現実的な難題を突き付けていきます。倫也が駆け出しのクリエイターながらも、一応の成功をおさめたのは、詩羽と絵梨々の力があったからこそだと、完全に部外者である伊織は部外者だからこその説得力をもって言います。そのような評価を与えてくれるからこそ、倫也はライバルである伊織を、サークルの新戦力として手に入れようと奮闘します。

 

 

「倫也君、君は最強のギャルゲ―を作りたかったんだろう? "伝説のヒロイン"を生み出したかったんだろう? なら、命を懸けて狙うしかないじゃないか」(百八八ページ)

 

「けどお前、伝説は見積もるなって……」(百八八ページ)

「確かにプロデューサーは伝説を見積もっちゃいけない。けれど、クリエイターは伝説を信じて構わないとも言ったよ?」(百八九ページ)

 

 

理想ばかりでは現実は動かない。だけど、理想がなければ動き出すことも出来ない。企画全体を統括する立場である二人ならではの、物語を作る原動力とはいったい何なのかを考えさせられました。結局伊織がサークルに加入したのかどうかは、ぜひ読んで確認してください。

 

新体制になったサークル「blessing software」がこれからどのようなゲームを作り上げていくのか、キャラクターたちは今後どのような活躍を見せていくのか、9巻が楽しみでなりません。

個人的には、無理やり腹黒属性と怒らせたら恐ろしいという属性を付与されそうになっている恵と、ポンコツ化が加速している絵梨々の鳴き声が楽しみです(ゲス)。詩羽先輩の出番をもっと増やしてくれてもいいんですよ?(小声)あと、倫也と伊織の絡みはもっとたくさん見たいです(ぇ

それでは、今回の感想は以上とさせていただいきます。

 

 

そして最後に

かねてから、Twitter以外でも、自分が触れてきたラノベやアニメやギャルゲの感想を記しておきたいなと思っていたのですが、最初の記事でも書きましたように、僕は怠け者なので、始めの一歩を踏み出すことがすごく苦手なのです。

何か劇的なきっかけを求めていたのです。それが先日ついに訪れました。

 

冴えカノの新刊が発売されたのを機に、久々に深崎暮人先生のTwitterを覗いてみようと思ったんです。そうしたら

「あれ、ブロックされてね……?」

広いインターネットの世界です。いつどこで先生のご機嫌を損なわせてしまったのかはわかりません。ですが、やはり敬愛しているイラストレーターの一人である深崎先生にブロックされてしまったのはショックでした。それもよりによって気が付いてしまったのが冴えカノの最新刊を購入した直後です。

友蔵がまる子に高い寿司ばかりたかられ、財布がスッカラカンになったときのような顔と笑いが顕現せざる負えませんでした。

 

ブロックを解除してくれとは言えません。ですがせめて先生を非難したり陥れたり、人格を否定する気は毛頭ない、ということだけは伝えたいです。願わくば、この記事が、いつか深崎先生のもとまで届くことを願っています。

 

そんな、ブログを開設するためのきっかけと話題作りのためには今回の件はうってつけでした。タイミングもバッチリだったと思います。ありがとうございます深崎先生! 

本当に以上です。また次回、よろしくお願いします。

 

いや、本当に冗談抜きで先生の絵が大好きです(だからブロック解除してくださいなんでもしま(ry